あがってみると、それは歩きにくそうな（猫には大丈夫そうなのですが）ところでした。
　というのも、そこかしこに紐がはられていて廊下を細かく区切ってあるようなのです。

　向こうには階段があり、高いところにある石の廊下に繋がっています。
　その廊下の上を猫が走っているのが見えます

　そして、ここは空と大地の狭間。
　多瑠慕機関でも、もっとも広くて狭い場所。
あまりに狭く、それゆえに休憩場的なものしか存在せず。
あまりに広く、それゆえに何を作ろうとも埋まることがない。
　それは全て、無数に存在する柱の大地の為。

　なんというか、こう・・・話し掛けるのがためらわれるくらい、双方必死に遊んでいるのです。

　ここも随分と古いようで、そこかしこに石柱が倒れています。
　そして、向こうからにゃーにゃーと鳴声が・・・

　最初は雲かと思った「塊」は、霞の彼方にあるとはいえ確かに「大地」のようです。
　というのも、緑がそこかしこに蔽い茂っていてこぼれ落ちんばかりなのです。

　ちょっと抽象的にしてみようと試みました。

　相当長いこと使われてないようで、空気が固まりかけています。
　猫は・・・多分、前の方にちらちらと動く陰がそうでしょう。その向こうにも影が・・・人影が見えます。

　そういえば、さっきいたはずの人影が見当たりません

　何しろ猫ときたら、「ずっとここにいたよ」という風な寛ぎ方で耳だけこちらに向けて様子をうかがうのです。